以前のコラムで、仏教の「六波羅蜜」という修行法を紹介しました。その一番最初にあったのが「布施(ふせ)」――良いことをしてエネルギーを増やす、という話です。今日は、この「布施」について、もう少し掘り下げて考えてみます。
例によって、私なりの捉え方の話です。「こう考えている人がいるんだな」という感じで、気楽に読んでください。
仏教は「適切なタイミングで、適切な布施を」と説く
仏教には、適切なタイミングで、適切なお布施をしましょう、という教えがあります。ただ闇雲に何かを与えればいい、という話ではないんですね。
これ、どういうことか。分かりやすい例で考えてみましょう。
おにぎりを一つ、誰かにあげるとします。同じおにぎり一つでも、本当にお腹を空かせている人にあげるのと、お腹いっぱいの人にあげるのとでは、結果がまったく違うと思いませんか?
おにぎり一つの重み
お腹を空かせている人におにぎりをあげたら、その人はめちゃくちゃ喜びます。心から「ありがとう」と思ってくれるでしょう。
一方、お腹いっぱいの人に同じおにぎりをあげても、内心「いや、おにぎりなんて今いらないんだけど……」と思っているかもしれません。同じ一つのおにぎりなのに、相手にとっての価値が、天と地ほど違うわけです。
もっと極端に考えてみます。もし相手が、本当に飢え死にしそうな状況だったら。そこでもらったおにぎり一つで、もし命がつながったとしたら――その人は、絶対に恩返しをしたいと思うんじゃないでしょうか。それくらい、「適切なタイミングの布施」には力があるんです。
因果応報は、案外シンプルな話かもしれない
「因果応報」という言葉があります。自分のした行いが、巡り巡って自分に返ってくる、という考え方ですね。
これ、スピリチュアルな話に聞こえるかもしれませんが、案外シンプルな現実の話なのかもしれない、と私は思っています。
たとえば、悪口ばかり言っている人。そういう人には、だんだん人が寄ってこなくなりますよね。周りの環境が悪くなっていく。当たり前です。しかも、悪口を言えば「お前だって」と、当然のように言い返される。マイナスを撒けば、マイナスが返ってくる。
だとしたら、逆もまた然りなんじゃないか。相手が喜んだぶんが、めぐりめぐって自分に返ってくるとしたら。もしそれで運が良くなるとしたら、やらない手はないですよね。
だから、相手をよく観察する
ここで大事になるのが、「適切な布施」の“適切”の部分です。
相手をよく観察して、何をしてあげたら、この人は本当に助かるのかを考える。お腹いっぱいの人におにぎりを押し付けるんじゃなく、本当に困っている人に、本当に必要なものを差し出す。これができたら、運気は爆上がりかもしれません。
ちなみに仏教では、この話はもっと奥が深くて、「自分と他人の区別はない」という考え方があります。人に何かをしてあげたとき、それを一番近くで見ているのは、実は自分自身なんですね。だから、自分に対して「私は良いことをした」という肯定的なデータが入力される。それが巡って自分を良くしていく、という捉え方です。
まあ、そのあたりの理屈はともかく。現実的な話として、感謝されれば、間違いなく人と人とのつながりは深まります。人づてに良い話が舞い込んでくる可能性も高まる。これは、目に見えるメリットとして確かにあることだと思います。
ただし――無理してやったら、逆効果
ここまで「布施は良い」という話をしてきましたが、一番大事な注意点を言います。
無理してやる必要は、まったくありません。
むしろ、無理してやったら逆効果です。どういうことか。
もし、あなたが誰かに何かをしてあげて、「やってあげたのに、”ありがとう”も言わないなんて」と考えてしまうなら――それは、あなたが無理をしている、というサインです。
たとえば、ボランティアをしているとき。同僚のボランティアに対して、「なんであの人はああしないんだろう」「なんでこうしないんだろう」「なんであんな対応なんだろう」と、不平不満で心が乱される。もしそうなっているとしたら、あなたはそのボランティアを、無理してやっているんです。
見返りを期待して、それが得られずにイライラする。それはもう、布施でも功徳でもなくなっています。心をすり減らして、かえってマイナスのエネルギーを溜めてしまう。それでは本末転倒です。
余裕ができたら、やってみたらいい
じゃあ、どうすればいいか。答えはシンプルです。
自分に余裕ができたら、やってみたらいい。
無理のない範囲で、見返りを求めず、自然に「この人を助けたいな」と思えたときに、やる。それだけで十分です。余裕がないうちは、まず自分を満たすことが先。自分がカツカツなのに、無理して人に施しても、続かないし、心も荒れてしまいます。
これはトレードにも通じる話だと、私は思っています。以前のコラムで「布施でエネルギーを貯める」という話を書きましたが、そのエネルギーも、無理して貯めようとしたら意味がない。自然体で、余裕のある範囲で積み重ねていくもの。トレードで少しずつ余裕を作りながら、心にも余裕を作って、無理なく良いことができる自分になっていく。そういう循環が理想だな、と思っています。
……今日も、ずいぶん説教くさい話になってしまいました(笑)。でも、「良いことは、余裕のある範囲で、見返りを求めずに」。これだけ持って帰ってもらえたら、私は嬉しいです。読んでくれて、ありがとうございました。
※本記事は情報提供および筆者の個人的な考えを述べたものであり、特定の宗教・思想や投資手法を推奨するものではありません。また、特定の勝率や利益を保証するものではありません。FX取引には元本を失うリスクがあります。取引は必ずご自身の判断と責任において行ってください。


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