移動平均線(MA)について、私が普段考えていることを書いてみます。テクニカル指標の中でも一番メジャーなMAですが、「ただ表示しているだけ」になっている人も多いんじゃないでしょうか。今日は、私なりのMAの見方を整理してみます。
例によって、これは「こう使えば必ず勝てる」という話ではありません。「私はMAをこういう原理で捉えている」という、ひとつの見方として読んでください。
メジャーなパラメータは、みんなが見ている
まず、私がMAを考えるうえで大前提にしていることがあります。それは、メジャーな設定のMAは、多くの人が同じように見ている可能性が高い、ということです。
代表的なのが「20MA」。これはもう、本当にたくさんの人が表示している定番の設定です。
なぜ「みんなが見ている」と言えるのか。理由は、チャートを観察していると分かります。20MAの付近で、値動きが抵抗になったり、サポートになったりする場面が、けっこうな頻度で出てくるんですね。これは偶然そうなっているというより、みんなが20MAを意識しているから、その付近で売買が起きて、結果的にそういう値動きになる、と考えるほうが自然だと私は思っています。
相場は、結局のところ参加者の売買で動きます。みんなが買うから上がるし、みんなが売るから下がる。だとすれば、「みんなが見ている線」を自分も意識しておくことには、意味があるはずです。
MAは「波」を描く。そして収束と拡散を繰り返す
もうひとつ、MAを見ていて大事だと感じるのが、MAは波を描いているということです。
価格はMAに対して、近づいたり離れたりを繰り返します。MAにギュッと収束したかと思えば、そこからグッと拡散していく。この「収束から拡散へ」というリズムが、繰り返し現れます。
この波が見えること自体が、私はけっこう重要だと思っています。価格とMAの距離が縮まっているのか、広がっているのか。そのリズムを意識できるだけで、チャートの見え方が変わってきます。
「みんな」と言っても、見ている時間軸はバラバラ
ここで、ひとつ考えなければならないことがあります。
「みんなが20MAを見ている」と言いましたが、その「みんな」は、全員が同じ時間足を見ているわけではありません。スキャルパーもいれば、デイトレーダーもいるし、スイングトレーダーもいる。同じスキャルパーでも、1分足を見ている人もいれば、5分足を見ている人もいます。
つまり、いろいろな時間軸の人が、それぞれの時間足で「自分の20MA」を見ているわけです。1分足の20MA、5分足の20MA、1時間足の20MA……それぞれ別の線です。
では、もしいろいろな時間軸の20MAが、同じタイミングで一斉に収束して、一斉に拡散していったら、どうなるでしょうか。これが今日いちばん書きたかった話です。
1つの時間足に、複数の時間軸の20MA相当を表示してみる
この「いろいろな時間軸の20MA」を、わざわざチャートを切り替えて見るのは大変です。そこで私は、ひとつの時間足の上に、複数の時間軸の20MA相当をまとめて表示して観察することがあります。
冒頭のチャート画像は、その一例です。これは15分足のチャートに、20MA・80MA・320MAの3本を表示したものです。それぞれの数字には、ちゃんと意味があります。
20MA……15分足そのものの20MA。
80MA……15分足の数字を4倍にすると、20×4=80。15分足の4倍は1時間足なので、これは1時間足の20MAに相当します。
320MA……さらに4倍。20×4×4=320。15分足の16倍は4時間足なので、これは4時間足の20MAに相当します。
つまりこの3本は、15分足のチャート1枚の上で、「15分足・1時間足・4時間足、それぞれの20MA」を同時に見ているのと、近いことになります。時間軸の違うトレーダーたちが見ている線を、1画面に並べているわけです。
3本が同時に収束・拡散したら、何が起きるか
ここまで来ると、最初の話につながります。
この3本(=いろいろな時間軸の20MA相当)が、もし同じタイミングで収束して、同じ方向に拡散していったらどうなるか。
それはつまり、15分足を見ている人、1時間足を見ている人、4時間足を見ている人——バラバラの時間軸のトレーダーが、同時に「参加したくなる」状況が生まれているかもしれない、ということです。
みんなが買うから上がる、みんなが売るから下がる。もし複数の時間軸の参加者が、同じ方向に一斉に動きたくなったら、その方向への参加人口が一気に増える。つまり、動くかもしれない。私はそんなふうに考えながら、このMAの並びを眺めています。
もちろん、これは「必ずそうなる」という話ではありません。あくまで「いろいろな時間軸の意識が揃いやすい場面では、一方向に人が集まりやすいのではないか」という、私なりの仮説であり、見方です。
まとめ
今日の話を整理すると、こんな感じです。
・メジャーな20MAは、多くの人が見ているからこそ、サポートやレジスタンスとして機能しやすい
・価格はMAに対して、収束と拡散を繰り返す。その波を意識することが大事
・「みんな」が見ている時間軸はバラバラ(スキャル〜スイングまで)
・1つの時間足に複数の時間軸の20MA相当を表示すると、それぞれの意識を1画面で見られる(例:15分足に20・80・320MA)
・それらが同時に収束・拡散すると、複数の時間軸の参加者が同じ方向に動きたくなり、動くかもしれない
MAは、ただの平均線ではなく、「みんなが何を見ているか」を映す鏡のようなものだと、私は思っています。そういう目で眺めると、いつものMAも少し違って見えてくるかもしれません。
ちなみに、こうした複数時間軸のMAを1画面に表示するためのツールも、私は自作して公開しています。MTF_MA。こちらは1時間足だから4倍の80MAか、などと小細工せずにダイレクトに表示できます。興味があれば、そちらも覗いてみてください。
※本記事は情報提供および筆者の個人的な考えを述べたものであり、特定の投資判断や取引手法を推奨するものではありません。また、特定の勝率や利益を保証するものではありません。FX取引には元本を失うリスクがあります。取引は必ずご自身の判断と責任において行ってください。


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